2008年06月11日

Sunk Cost (埋没原価)

いきなりですが、あなたは以下を読んでメーカーAを支持しますか?しませんか?

①メーカーAはステルス機のプロジェクトを立ち上げた。メーカーBがより性能のよいスティルス機を先に販売した。しかしメーカーAは残りの予算を使ってプロジェクトを完成させた。

では、続いてこちらはどうでしょう?

②メーカーAはステルス機のプロジェクトを立ち上げた。メーカーAが10憶ドルの総予算の90%を使った時に、メーカーBがより性能のよいスティルス機を発売した。しかしメーカーAは残りの予算を使ってプロジェクトを完成させた。

Sunk Cost とは、すでにある案に費用を支出したあとで他の案に変更したとき、
回収できなくなる部分のことを言います。

たとえば、公共事業で橋を途中まで作ったが必要なくなったので結局作るのをやめたときの、途中まで作った費用、
あるいは資格試験を受けようと試験料を払い込んだのに、当日体調不良で行けない時の試験料の損失などのことをいいます。

人はこのSunk Costを嫌う傾向があります。
冒頭の①②の違いは、Sunk Costが明解かどうかです。
多く費やしたほど、これまでの投資がもったいない!!と思い、初志一徹してしまう傾向があります。
ちなみに、①の決定に対しては国防産業会社重役の16.7%が、②の決定に関してはそのほかの国防産業会社重役の85.7%が支持したそうです。
つまり、この質問においてSunk Costが決定の基準になっていることがわかります。

②に関して高い支持がありますが、そのままメーカーAがステルス機を開発・販売したところで、メーカーBのほうが性能がよいのですから(同程度の値段とすれば)メーカーAのステルス機は売れず、その決定から開発終了・製造・販売までのコストは無駄になってしまいます。これは合理的な決定ではありません。

公共工事に関しても、必要ないのに作ったところで、完成までのコスト、メンテナンスのコストがかさむばかりです。
資格試験に関しても、体調不良で受験してもきちんと集中することができず、体調が悪化してしまうかもしれません。
お金を払って、自分にとって都合の悪いことをするのと同じ状況になってしまうのです。

身近なところで考えてみると、東芝のHD-DVDの撤退は合理的であったことがわかります。
あのままHD-DVDをゴリ押しして開発や販売を続けるよりも、勇気ある撤退を選択したほうが賢明だったでしょう。
それを証明するかのように、発表の後の東芝の株価は上昇しました。

このように、これまでのコストを考えて動きが鈍くなるよりも、未来を考えて動くことのほうが重要だといえます。
逆に、このことを利用して、お金をかけさせて執着してもらうのもいいかもしれません。

貢いだ異性には執着するっていうのはこういうことだったんですね。

以上、授業で学んだことでした。


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Posted by スズコ at 12:55│Comments(0)勉強
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